古本は価格弾力性が低い

値段を下げて、早く商品を売るのがいいかというと、古本の場合はそうとも言い切れません。相場が上がり調子のものをみすみす安く売るのは、その本を本当に必要としている人に手渡したいという古本屋のポリシーに反します。また、値段によって売れ行きが変わることを価格弾力性といいますが、本は値段が安ければ必ず売れるという類いの商品ではありません。

例えば相場が一万円の本が千円で出ていたとしても、その本を必要としない人にとっては意味がありません。逆に、必要な人にとっては、付いている価格よりもはるかに価値を持つ場合があります。本とは、そういうものです。こうしたところが、本が例えば食料品などとは決定的に違う点です。

八百屋や魚屋であれば、一日の終わりには店に何も商品がなくなるかもしれません。食べ物は安くすれば必ず売れるので、定休日の前日には、すべての商品を値下げして売り切ってしまうこともできるでしょう。しかし本はいくら安くしても、読みたくない本を買ってもらうことはできません。常に大量の在庫を抱えて、その一冊をほしがるただ一人のお客様を待つしかないのです。転売を目的とする人を除けば、古書は価格弾力性がきわめて低い商品だといえるでしょう。
つまり、安くして売る、安いから買うという状態にするには、転売してももうけが出るくらいまで安くしなければならないのです。
結局、相場か相場より少し安い価格を設定して、それをほしいと思ってくれる少数の人を待つしかないのが古本の商売です。まして、いまは新刊本も売れない時代です。新刊も古本も含めて、たくさんの売れない本のなかから、どのようにして自分の店の一冊を買ってもらえるようにしたらいいのか、どの店も苦心しています。開業にあたっては、このことを念頭に置いておきましょう。

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